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はじめに

 初めまして。元おちこぼれ留学生の木川つきです。

 現在2児の母をしながら、元おちこぼれなりにも留学経験と英語を活かしてフリーランスフォトグラファーとして働いているのですが、実は最近まで、自分でも解明できない謎のモヤモヤに苛まれておりました。

 胸の奥に常にしぶとく何かが引っかかっていて、何年も何年も答えが出ないまま、闇雲にモヤモヤの正体を模索しては、思考が何周もして、結局何一つ考えがまとまらぬまま空しくなってしまうのです。

 そんな中つい最近、本当にふと、いつもは見えないところに置いたまま全く使っていないハードディスクの存在を見つけたのです。

 どんなデータが入っているか、全く見当もつきませんでした。

 ちょうど時間もあったので、暇つぶしを兼ねて眠っているデータの整理でもしようと思い立ち、何年かぶりにそのハードディスクを開いてみると、そこには年ごとにまとめられてさえいるものの、整理されずに散らかったままのニュージーランド時代の写真が入っていました。

 綺麗に撮られているニュージーランドの風景写真だけではなく、それ以外の、しぶとく消さずにいた割にはなんとなく見ないようにしてきたほぼすべての写真も、10年近くそこにそっと残されていたのです。

 友人との何気ない写真、試行錯誤の末に撮った未熟な作品、そして自分が「落ちこぼれ」だった頃の記憶が詰まっていました。

 タイムカプセルを開けたような、恥ずかしくて見たくないけど、やっぱりちょっと思い出したい、そんな少し胸がキュッとなる複雑な懐かしさで溢れていたのでした。

 そんな思い出の欠片を一枚一枚仕訳けたり、綺麗に編集し直したりする作業を何日かゆるりと続けながら、ふと、こんな美しい景色や貴重な経験を形に残してどこかの誰かの為になればなーと思ったのを境に、霧が晴れていくように気持ちが解放されるのを感じたのです。

 なるほど、なんとなくわかったぞ。

 思い出は目に見える形で残したい私は、ニュージーランドで過ごした約8年間の貴重な経験の数々が、どこにもきちんと記録されることなく、「そんなこともあったなー」という程度の薄い思い出として私の脳内にだけ存在していることに対して、「もったいない」だとか「悔しい」だとか「不甲斐ない」だとか、そう形容するのさえしっくりこない、複雑なモヤモヤを抱えていたようなのです。

 特に、落ちこぼれだった美術学校時代の3年間の思い出は、私の中ではちょっとした暗黒期のようになってしまっていて、普通に考えたら人とは違う実に貴重な経験だったにも関わらず、記録に残すどころか、これまで思い出しそうになっては恥ずかしくて記憶にフタをする。

 私はずっと、その時期の自分を直視するのが怖かったのかもしれません。

 大変だったり悔しかった経験、大した作品も残せなかった後悔や努力しきれなかった後悔、苦労したはずなのに自分の中に何も残らなかったように感じてしまう恥ずかしさ。

 9割がローカル人の学校に、たった1人の日本人として飛び込んだのに、それを上手く武器にもできず、さらには英語だって自分が求めるレベルにまでは成長しなかった。

 でも、落ちこぼれだったこの時期の経験こそ、受け入れて誇る価値があるんじゃないか。今の私を作る重要な柱の1つなのに、その存在を無視していたから、何を始めるにも気持ちがなんとなくグラグラしていたのではないかと、腑に落ちたのです。

 それぞれの時代に付随する思い出は、今もなお美しく人生を彩ってくれています。

 だからこそ、この暗黒期を素直に受け入れて、価値を持たせることができれば、私の過去のニュージーランド生活は、苦労も含めたすべてが美しい経験として発信できる。

 そして、誰かの心にそっと響くかもしれない。

ニュージーランド南島のプカキ湖

 と、こんな経緯でこのブログは生まれました。

 キラキラに彩られがちな留学や海外経験のカテゴリー。このブログでは暗黒期の苦い思い出も後悔も苦労話も恥ずかしい話も、誰かにとっては貴重な面白い話になってくれることを願って、包み隠さず書き留めていこうと思います。

 それと並行して、ニュージーランドのただのほほんとした雑記やエピソード、少し為になる話や本業の写真のことを、過去の私が撮った写真と共にお届けしていきます。

 もし、このブログを読んで「こんな経験もあるんだ」と思ってもらえたら嬉しいです。海外に挑戦したい人、昔の自分と同じように悩んでいる人の背中をそっと押せるような場所になればと思います。

 このブログを読んでくださる皆さんと一緒に、様々なエピソード、知識、経験を共有していきながら、人生の価値をアップデートしていけたら幸せです。

 そして、私はこのブログを通して、大好きなニュージーランドと向き合い続けながら、再びその地を踏むことを目標にしています。そのときには、「落ちこぼれだったけど、ちゃんと専攻を本業にしたぞ!」と胸を張れるように。

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